

最初は不安もありました。利用者さんの多くは高血圧や糖尿病などの病気を持っています。中には流動食を必要としている方がいます。そんな方々に満足していただけるおいしい料理が作れるのか。手探りの中、美味しい物を食べていただきたい、食事という時間を楽しんでいただきたい、その一心で仕事に取り組んできました。

介護の世界に入り私の人生は大きく変わりました。何より、大切な物を見つめ直す事が出来たと思います。利用者さん達とお話をする、病気の事を知る、体調を知る。心を通じ合わせ、初めて作れる介護食。私は多くの事を学び、食事を楽しむという初心を思い出させてもらいました。料理に答えなどありません。ただ利用者さんの笑顔、美味しかったという言葉。その一つ一つが私に取ってなにより財産になりました。

どうしたら食事を楽しんでもらえるか、、、私なりに色々と考えました。良い料理を提供するだけでは、本当に心から楽しんでもらえる事は出来ない。そう思い、私はイベント、アクティビティーに力を入れてきました。毎月のイベントを増やし、なるべく季節を感じてもらえるような料理をブッフェ形式や弁当形式にしたり、時には流しそうめんなどもしたりしました。

時には仮装をしたりと、目でも楽しんでもらえるようにしました。キッチンスタッフと介護スタッフの方々が協力し合い、成功したイベントほど利用者さんに喜んでもらえたものはありません。小さな工夫が、大きな笑顔を生み出すその瞬間を私は数多く見てきました。振り返ると私は本当に素敵な時間を過ごして来たのだと心から感じます。

私にとって初めてのアメリカ生活。右も左も分からない自分にとって、BOSSはじめ、スタッフの方々には色々と助けていただきました。私の話を聞いてくれ、アドバイスをしてくれ、優しく接してくれた事に感謝しております。なにより、ここでは書ききれないほどの楽しい思い出ができました。
研修もプライベートも一生懸命全力で取り組む。その結果、刺激的で充実した時間が過ごせたのだろうと私は思います。この大きなアメリカで皆様に出会えた事。私はこれからも皆様との縁を大切にして行きたいと思います。

今回の研修は私にとって新しい夢の一歩になったと思います。将来の事は分かりません。ただ料理とはこれからも付き合って行くでしょう。その中で介護の世界が、飲食の世界ともっと寄り添うべきだと強く感じました。そして、これから新しい世界を作って行かないといけないと思いました。その時、私には何が出来るのか。この研修で感じた事、学んだ事を心に刻みこれからの人生を進んで行きたいと思います。